RICOH RIQUARTZ 823002


オールステンレスの外装にガラス風防、色数を抑えたシンプルな文字盤にスクリューバックとデジタル腕時計としてはかなり高級感、あるいはおっさん感が強い。デザインイメージを例えるなら、ホテル客室のベッドサイドコントロールパネルといったところ。5連ベルト等がいかにも70~80年代。

現代のデジタル腕時計のチープ・軽い・カジュアル路線とは真逆のシック・重い・フォーマル。スーツと合わせれば、目も当てられないくらいに似合うだろうが、あえて普段着に合わせることで面白さが生まれてくるのではなかろうか。


機能は生活防水・アラーム・クロノグラフと現代の基準から見ても十分実用に耐えるが、洗練されたカシオスタンダードなどと比べると、その操作系は奇怪である。 ボタンは4つ。経年劣化もあってか、若干押しずらく、複数のボタンを同時押しを強いる操作体系では、腕に巻いている状態で操作不能。ボタン押下時に電子音は鳴らない。

右上を押し続けると月・日・年が表示される。右上を押し続けながら右下を押すことで日・月・年との表記を切り替えられる。アメリカ式表記とヨーロッパ式表記・・・このまま海外展開をしていたのだろうか。また右上を押し続けながら左上を押すと普段の時刻表記の12時間表記24時間表記の切り替えができる。共に時間以外のAM・PMや24Hといった表記が無い為、切り替わっているのか非常にわかりずらい。そもそもそんな操作があることにしばらくは気づかないだろう。

右下のボタンを押し続けるとアラーム時刻が表示される。右下を押し続けながら右上でアラームのOn Offの設定が行える。また右下を押し続けながら左上でアラーム時刻表記の12時間表記・24時間表記の切り替えが行える。12時間表記の場合はAまたはPが表示され、24時間表記の場合は何も表示されない。これは普段の時間表示の表記方法とは無関係に設定できる。(この機能意味あるの?普段は24時間表記だけど、どうしてもアラームは12時間表記で無いと気が済まない人が居るのかなあ)アラーム音はカシオデジタル(f91w)と似たり寄ったり。アラームを止めるのは右上ボタンである。

左下を押し続けることでライト点灯。残灯機能は無い。今にも消えそうなオレンジ色の淡い光である。カシオデジタルと同じく、他の操作に使用する際も点灯する。

左上を押すと1/100秒ストップウォッチモードになる。右上がスタートストップ、左下がリセット。こちらもカシオと同じように一着二着同時計測機能(測定中にリセットを押すと計測は続いたまま表示を止める機能)が搭載されている。再度左上ボタンを押すことで時刻表記に戻る。

左上ボタンを長押しするとアラーム時刻設定に移行する。右上で操作対象の切り替え(カーソル移動)右下でアラームの時間を変更する。勿論、この表記は前述のアラーム用12時間24時間表記切り替えが反映されている。時間を編集すると自動的にアラームがセットされるのはカシオと同じ。<アラーム時間を変更した場合は、左上ボタンで通常に時刻表記に戻る。

アラーム時刻を変更しなかった場合は、(やっとこさ)時刻および年月日曜日変更モードに移行する。右上で操作対象の切り替え、右下で数字編集である。秒数のみ右下で0に合わせる。(その際、30秒を境に近い分数に丸められる。)ここでの表記も、時刻用12時間24時間表記切り替えや、月日年フォーマット切り替えの影響を受けている事に注目。年は00年から99年のフルオートカレンダーである。00年は平年とされており、(つまり4で割り切れても100で割り切れる年は平年という閏年の第二規則が適用されている)400年に一回の修正を必要とする。ちなみに、存在しない日付(21年の2/29や2/30,2/31日など)も設定できるが、次の月の1日、(3/1等)に自動的に切り替わる。


もっとも注目したい点はLCD文字のフォントである。左右上下非対称なデザインであり、特に「4」の1画目の縦線が短く、「3」などの上下の横線の端が丸みを帯びている。

現代から見れば、一つ一つのパーツが大きく感じられるムーブメント。電池はSR41Wを2つ使用。アルカリ電池であるLR41では、電圧が変動し、時間が狂うため使用しないのが鉄則である。

そろそろ一周廻ってこういうデザインが流行りだすんじゃあないかなあ。フォーマルなデジタル腕時計、いいじゃない。


2021/2/27 撮影機材:Nikon COOLPIX 990, moto g(7)
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